ここでは、サークル、同窓会など町内会以外の任意団体の法人化について、一般社団法人への法人化を例にしてご案内いたします

任意団体の法人化

サークルなどの任意団体を法人化しようと考えた際、町内会・自治会であれば認可地縁団体という法人格を得ることができます。しかし町内会以外の任意団体では認可地縁団体になることができないため、別の法人格を選ぶ必要があります。財団法人、NPO法人などさまざまな法人格がありますが、第一の選択肢となるのが一般社団法人です。

任意団体とは

任意団体とは、町内会・自治会、協会、地域スポーツ団体、業界団体、学会、研究会、趣味サークル、同窓会など名称は何でもよく、同じ目的を持った人が集まってつくられている団体のことです。特に行政に対する届出は不要で自由に設立できます。ただいわゆる「法人格」は持っていません。

任意団体の法人化メリット

任意団体の法人化のメリットとして以下のことがあげられます。

  1. 契約や財産処分など権利義務の主体となれる
    任意団体だと団体が主体となれず、契約や財産処分の主体が「個人」になっているケースが非常に多いです
  2. 任意団体よりも社会的信用力がある

任意団体の法人化デメリット

一方、任意団体の法人化のデメリットとして以下のことがあげられます

  1. 活動内容が定款の範囲内に限定されるようになる
  2. 今まで以上の事務処理が求められる(税務申告等含め)
  3. 法人代表者の個人情報が公開されることになる(案外盲点となっている部分)
  4. 法人税・法人住民税が原則発生する(法人住民税の均等割は、自治体によっては減免されることがある。例:千葉市では非営利型一般社団法人の場合、法人県民税均等割(2万円)はかかりますが、法人市民税均等割は免除(要手続き)とのこと)

以上、任意団体の法人化メリット・デメリットをよく比較し、最終的に法人化を選択するか否か、決定することが大切です。

一般社団法人とは

一般社団法人(略して一社)とは、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」を根拠法として設立される法人のことです。剰余金の分配を目的としない(非営利)ところが株式会社と異なる点ですが、ただ非営利といっても事業内容に特に制限はなく収益事業を行ってはいけないという意味合いではありません。また行政の認可等も必要ありません。「定款の認証」と「登記」のみが必要です(準則主義)。またよく「公益性」が高いイメージを持たれがちですが、必ずしも公益性の高さは要求されていません。

一般社団法人設立への流れ

一般社団法人の設立要件

  • 2名以上の社員:社員は従業員のことではなく、株式会社でいうところの「株主」に近いイメージ。なお人ではなく法人でも可
  • 1名以上の理事(社員と兼務可)※理事会を置かない場合 :理事は「役員」というイメージ
    理事会設置なら3名以上必要
  • 社員総会の設置

ほか任意要件として、理事会・監事(理事会設置なら1名以上)・会計監査人の設置可能です(定款で定める)
現実的には、理事会・監事を置くケースが多いです。

またその他の要件としては、

  • 原則、社員や設立者に剰余金、残余財産を受ける権利を与えてはならない
  • 事業年度毎の計算書類・事業報告などの作成、事務所への据置及び閲覧などによる社員、評議員、債権者への開示
  • 貸借対照表の公告

などが求められます。

非営利徹底型と(非営利徹底型ではない)普通型

一般社団法人は大きく2つのタイプに分かれます。簡単にいえば非営利型かそうでないか(普通型)です。これは税制面に着目した分け方で、非営利徹底型の場合、法人税制面における優遇措置があります。非営利徹底型ではない普通の一般社団法人は、すべての事業が課税対象となりますが、非営利徹底型一般社団法人の場合、いわゆる34業種の収益事業(法人税法施行令5条1項)に該当しない事業については課税対象外となります。

一方で、非営利徹底型には税制面の優遇措置があるため、普通型にはない必須要件が定められています。その代表例が「各理事について、理事とその理事の親族等である理事の合計数が、理事の総数の3分の1以下であること」というものです。いいかえれば、この要件を満たすためには最低3名の理事が必要ということになります。

一般社団法人のメリット

一般社団法人のメリットを以下にまとめてみました

  1. 定款認証と登記のみで設立可能
    行政の許認可は不要です
  2. 小規模であっても設立可能
    資本金が必要といったこともありません(いわゆる0円起業が可能)
  3. 事業内容に制約なし
    公益事業のみといった制約はありません
  4. (非営利型の場合)収益事業以外は非課税に
  5. 補助金等の申請がしやすく、基金や寄付金を集めやすい
    任意団体のままでも応募できる補助金等はありますが、応募対象を法人に限った補助金等が数多いことも事実です。また社会的信用が増す点からも基金や寄付金は集めやすくはなります

一般社団法人とNPO法人との比較

NPO法人とは

NPO法人とは、正式には特定非営利活動法人といい特定非営利活動を行う法人のことを指します。特定非営利活動とは「不特定かつ多数の人の利益の増進に寄与することを目的とした活動」のことで、NPO法で20種類の分野が定められています。

NPO法人のメリット(主に一般社団法人との比較)

NPO法人のメリットしては以下の点があげられます

  1. 設立費用がかからない
  2. 寄付金などをより集めやすい
  3. NPO限定の補助金等が多く出ている

などサポートが充実していることがあげられます。

一般社団法人とNPO法人との比較

当オフィスが考える一般社団法人とNPO法人との違いを比較してみました

項目一般社団法人NPO法人
設立にかかる費用△ 定款認証手数料+登録免許税で約11万円◎ 登録免許税等不要
設立にかかる時間◎ 書類さえ揃えれば最短数日でも可能△ 最短2~3か月
設立に必要な人数○ 最低2名(非営利徹底型は最低3名)△ 最低10名
許認可等は必要か◎ 届出すら不要 定款認証および登記のみ○ 行政の認証が必要 定款認証は不要
社会的信用度
業務の幅◎ 特に制約はない△ NPO法で定められた業務のみ可
税制優遇措置○ 非営利徹底型なら収益事業のみ課税 普通型は全ての所得に課税◎ 収益事業のみ課税
理事任期更新時△ その都度登記費用がかかる◎ 登記費用はかからない
補助金等が得やすいか○ ◎ 法人+対象がNPO限定の補助金等がある
寄付が得やすいか○ 認定NPO法人独自の寄付金優遇税制あり
事務処理○ 毎年の行政に対する報告は必要ない△ 毎年行政等に対する報告が必要
根拠法一般社団法人及び一般財団法人に関する法律特定非営利活動促進法(NPO法)
所轄庁なし都道府県庁もしくは政令指定都市

こうした団体も一般社団法人にできる!

町内会・自治会 サークル 地域スポーツ団体 コミュニティビジネス 社会貢献事業

などなど、さまざまな実例があります。
例えば、町内会を一般社団法人にする場合の一連の流れをまとめてみました⇒こちらのページをご覧ください

一般社団法人設立の流れ

1 設立準備
発起人(2名以上)によって、設立に向けた準備に入ります
2 定款作成
発起人が定款案を作成します
3 定款認証
公証役場にて定款の認証を行います。なお一般社団法人の場合、定款の認証は必要です。ただし株式会社ほどの費用はかかりませんし、電子認証にしても費用は変わりません
4 設立の登記
法務局で設立の登記を行います。登記費用(設立登記登録免許税)がかかります。なお、この登記した日が法人設立日となります
5 実際の運営へ
税務署への開業届の提出、人を雇うのであれば、労働基準監督署等労働関係の役所への各種届出などを行います

一般社団法人への法人化などサポート内容

オフィスあるぷすでは以下のサポートメニューをご用意しております

  1. 一般社団法人設立作業一式
    以下の2、3を含めほぼ全ての作業を網羅したものとなります(法務局への登記除く)
  2. 定款作成(なお株式会社の場合と異なり、定款作成時の印紙代は紙媒体でも電子認証でもかかりません)
  3. 定款以外の必要書類作成
  4. 職員を雇用する場合の必要規程など作成
    必要であれば就業規則、労働3帳簿、労働条件通知書など
  5. 職員を雇用する場合の必要手続き
    労働基準監督署、ハローワークなどへの書類届出など

上記にない業務についてもお気軽にご相談ください

一般社団法人への法人化など料金

内容(標準的なケースの場合)料金(税込)備考
一般社団法人設立作業一式(登記は除く)12万円~
定款作成(定款認証代行費用除く)6万円~
定款以外の必要書類作成ご相談で
職員を雇用する場合の必要規程など作成ご相談で
職員を雇用する場合の必要手続きご相談で
税金・公証役場への支払費用等諸経費は除きます

定款以外の必要書類としては、理事、役員等の就任承諾書、設立時代表理事宣誓書などがあります

一般社団法人への法人化などよくあるご質問

一般社団法人と株式会社との違いはなんですか?

根拠法が違います、というのが結論の1つですが、最大の特徴は最終的に生じた利潤を分配することを目的としているか否かが異なります。一般社団法人は、収益事業を行うことは可能ですが、利潤を分配することは目的としていないため仕組みとして想定されておりません。その点が最も大きな違いとなります。

一般社団法人に税金はかかりますか、またインボイスについてはどうなりますか

一般社団法人にも、普通に法人税などの税金はかかります。非営利型と普通型とでそのかかり方が違うだけです。というわけで、インボイスについても登録事業者となるか否かについては、当然判断する必要があります。

一般社団法人と任意団体の違いについて教えてください

一般社団法人は一般社団法人を規定する法律に基づいて設立されています。ほかにも株式会社など法人を規定する法律はありますが、それらに一切該当しない団体を、ある意味「任意団体」と呼んでいます。法人格の有無がいちばん大きな違いです。

一般社団法人には非営利型と普通型とがあるとききましたがその違いは?

一般社団法人における非営利型と普通型との違いは、第一に税金面での優遇措置の有無、第二にそれにともなう組織として備えておくべき要件の違いとなります。

税金面での優遇措置は非営利型のみ受けることができ収益事業のみが課税されることになり、また法人住民税の均等割部分も低額(場合によっては免除)となります。ただし非営利型の場合、例えば何人理事が必要かという要件が変わり、結果的に最低3名は必要になります。また非営利型には非営利性徹底型と共益性活動目的の2つがあり、それぞれで要件が多少異なります。詳しくはご相談ください。なお、税金面での優遇措置については法人税法等に定めがあります。

一般社団法人が営む事業は公益性が高くなけれなばらないと思ってましたが違うようです。詳しく教えてください

まず一般社団法人は公益法人ではありませんし、特に業務内容に制約があるわけでもありませんが、公益事業を営むこと自体はもちろん構いません(公益事業を営まなくても構わない)。ちなみに公益性という点でいえば一般社団法人とは別に公益社団法人という法人形態があります。しかし公益法人になるためには、さまざまな優遇措置があるため、一層高いレベルでの要件達成が求められます。